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生活排水や畜産廃棄物の垂れ流し、農薬や化学肥料、薬品による土壌汚染が増えてくると、水と空気が酸化してしまい、川と海に堆積した有機物ヘドロを分解する自然の自浄能力が限界を超えてしまうのも仕方のないことだ。
これではまるで、残飯ガスが充満する家に住んでいるようなものである。
病気にならないほうが不思議というものだ。
免疫力が大切なことはわかったが、私たちが実際に生きていく環境はきびしい。
雑誌「アエラ」(一九九三年三月二日号)に、米どころ新潟県の疫学調査がレポートされ、この間のことを知実に示している。
これは主に山本正治・新潟大学医学部教授の研究によるもので、「信濃川と阿賀野川の流域に胆嚢ガンが集中的に発生しており、しかも新潟平野で多用されている有機塩素系除草剤(クロルニトロフェン)が、その発生主因として疫学上絞りこめる」というものだ。
疫学とは、多発する病気などの原因や病源地を、患者の集団や、その環境の特徴から割りだしていくものだ。
たとえば一九五0年代から六0年代にかけて、骨が脆くなって死亡するイタイイタイ病が富山県神通川流域で多発したが、これは鉱山のカドミウムの排出によって米が汚染され、それが発症に大きく関係していることがわかった。
中枢神経が破壊される水俣病は、熊本の水俣湾沿岸地域と新潟の阿賀野川の下流域で発生したが、これも有機水銀化合物という薬品が魚などを汚染し、その汚染魚を食べた人が発症するという食物連鎖であった。
厚生省はこの三地域の疾病について、いずれも公害病と認める政府見解を発表したが、Y教授はインタビューに答えて、こう語っている。
「身近なところに真実があったということです。
農薬に行き着くとは思ってもいませんでした。
アンタッチヤブル(触れてはいけないこと)にぶつかってしまったが、この平野の住民は、農薬工場のなかで生活させられているようなものなのです」文明の発達とともに環境は悪化し、公害も発生した。
最近では、食品が工業化され、農薬や化学肥料を活用して、生命のためには食べてはいけない食品、薬品までつくってしまった。
現在でも三四七種類の食品添加物が許可されているが、これは私たちの健康や寿命には何ら関係がない。
野菜や果物の見た目をきれいにし、長持ちさせるためのもので、流通に関係しているだけである。
もちろん農薬や化学肥料をある程度使わざるをえないことはわかる。
増産の目標達成のために少しでも作物を多くつくろうと、化学肥料を与えて病気にかからせないことを考えるのは人情だろう。
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